やわらかな香りと美しい花姿 “ふじ”を愉しむ

滝のように下に垂れさがる紫の花々が、なんとも美しい藤の花。あの甘い香りと優美な花を堪能できるのは数週間。桜と一緒で、季節限定のたのしみですから、思う存分観賞したいですね。日本人と藤との関係はとても古く、日本最古の歴史書「古事記(712年)」にもその名が登場します。藤の名所も多く、全国各地に見受けられます。皆さんの住む地域にも馴染みのある藤棚があったりしませんか?季節的にも散歩が気持ち良い県内の気候。生命力溢れる藤の花にふれながら、素敵な藤めぐりウィークを過ごしてみましょう。

町内の小鳥谷にある、枝ぶりも見事なノダフジの巨木。この地は昔、九戸の乱で上方軍の蒲生氏郷軍が九戸方の姉帯城を攻撃するために陣をはった場所だと伝えられています。当時は周囲三方に堀がめぐらされ、フジがあたかも島のように見えた事から、「藤島」と呼ぶようになったともいわれています。樹齢は数百年といわれ、天然記念物に指定された昭和13年には、根回りが3.3mもありました。かつては隣にあったカツラの枝にからまっていましたが、その枝が枯死したため今は鉄骨のヤグラに支えられています。老木のため以前より主幹は細くなりましたが、新しく分かれた枝が育ち、花期になるとけむるような紫の花房が垂れ、幻想的なたたずまいを見せています。

写真提供(岩手県観光協会)

二戸郡一戸町小鳥谷字仁昌寺
0195-33-2111
IGRいわて銀河鉄道「小鳥谷駅」より徒歩約10分
一戸ICより車で約10分
5月中旬~下旬
一戸町観光協会


角掛神社の境内にある滝沢村指定文化財、天然記念物「五竜のフジ」。樹齢がおよそ200年から300年の老大樹が5本もそろって自然のままに生えているのは県下でも珍しく、その姿はあたかも5頭の龍が大空に舞い上がる姿を思わせることから五龍のフジと命名されています。大木に巻き付く様に幹を這わせており、見る人を驚かせています。
現地近くには小さな案内看板が設置されています。車両を止める際はご近所の迷惑にならないように気をつけましょう。

滝沢市湯舟沢34(角掛神社敷地内)
019-684-2111
盛岡ICより車で約10分
5月中旬
滝沢村教育委員会文化スポーツ課


日本百景のひとつ。砂鉄川が石灰岩を浸食してできた約2kmの渓谷で、両岸には高さおよそ100mの断崖がそびえています。流れは静かで、舟下りでは船頭が竿一本で巧みに舟を操り唄う「げいび追分」が響きます。
この断崖に紫の花を咲かせる藤の花が春いちばんの見どころで、特に清流沿いにそびえる藤岩には花期は鮮やかな紫色の房が幾重にも垂れ下がり市内ではフジの名所として知られています。また最奥の猊鼻岩へ向かう途中にも藤棚が設けられており、色が鮮やかで花芽も多く、ボリュームのある房は新緑によく映えます。

一関市東山町長坂字町467
0191-47-2341
猊鼻渓駅より徒歩約5分
一ノ関ICより車で約30分
5月中旬~5月末
げいび観光センター


岩手県内で知られている藤の名所以外にも、隠れた見所はたくさんあります。
御所湖広域公園の塩ヶ森水辺園地は、主にウィンドサーフィンの基地として利用されています。初夏の日差しを遮るように、日陰のベンチ上に藤棚があります。キラキラと光る夕景の御所湖に、しっとりと揺れる紫色の房。気軽に散歩や運動をしながら美しい光景に出会える隠れた写真スポットです。

御所湖広域公園内(塩ヶ森水辺園地)
盛岡ICより車で約25分
5月中旬〜下旬